治療について
目次
- 監修
- 群馬大学大学院医学系研究科 泌尿器科学分野
教授 鈴木 和浩 先生
治療について
前立腺がんには、「監視療法」、「フォーカルテラピー」、「手術療法」、「放射線療法」、「薬物療法」などなど、さまざまな治療法があります。これらの治療を単独あるいは組み合わせて行います。
治療法は、がんの進行度(広がり)や悪性度、また、患者さんの全身状態、年齢などを考えて、最適な方法を選択することになります。主治医とよく相談の上、納得のいく治療法を選択するようにしましょう。
治療法 | 種類/方法など | |
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監視療法 |
定期的なPSA検査や生検で管理し、病状悪化が見られたら治療を開始します |
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フォーカルテラピー |
MRIなどで確認されたがんを正常組織を残しつつ治療します |
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手術療法 |
前立腺全摘除術 |
開放手術、腹腔鏡手術、内視鏡下ミニマム創手術、ロボット支援下手術などがあります |
放射線療法 |
外部照射療法 |
多門照射、3次元原体照射、強度変調放射線治療、粒子線治療(陽子線、重粒子線)などがあります |
組織内照射療法 |
低線量率永久挿入組織内照射法(LDR)、高線量率組織内照射法(HDR)があります |
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薬物療法 |
作用メカニズムが異なる治療薬が用いられています |
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細胞傷害性 |
タキサン系化学療法薬などが用いられています |
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放射性医薬品 |
骨転移がある場合などに用いられることがあります |
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個別化治療 |
特定の性質を持つがんに対して、免疫チェックポイント阻害薬やPARP阻害薬による個別化治療が選択されます |
TNM病期分類による治療法
病期 I、II 期 |
病期 I、II 期は、がんが前立腺内にとどまっている早期がんであり、根治可能と考えて治療を行います。 T1a(とくに高齢者)では、すぐに治療を開始せず、定期的にPSA値や生検を行いつつ経過観察する監視療法が選択されることがあります。監視療法の利点は、手術や治療に伴って生じる可能性がある副作用を避けられる点です。 T1b、T1c、T2a、T2b、T2cでは、前立腺全摘除術もしくは放射線療法、ホルモン療法が行われます。 前立腺全摘除術は、全身状態が良好な70歳くらいまでの患者さんが対象となります。 放射線療法には、外部照射療法と組織内照射療法があり、がんの悪性度(グリーソン・スコア)やPSA値に応じて単独あるいは併用で行います。とくに年齢による規定はありません。 ホルモン療法は、高齢者では単独で行われることが多いのですが、グリーソン・スコアの高値例やPSA高値例では、ほかの治療と併用で行われます。 |
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病期 III 期 |
病期 III 期は、がんが前立腺の被膜をこえて進展している段階です。限局がんに比べると根治の可能性は低くなりますが、下記の治療により良好な結果が期待できます。 治療はホルモン療法単独または放射線療法とホルモン療法の併用で行います。(また、手術を行う場合には、手術前にホルモン療法でがんを小さくしたり、手術後に放射線療法や内分泌療法を行います。) |
病期 IV 期 |
病期 IV 期は、精嚢以外の隣接組織に浸潤したり、リンパ節やほかの臓器に転移がみられる段階であるため、基本的にはホルモン療法などの薬物療法で全身的な治療を行います。 転移による痛み、神経の麻痺に対しては放射線療法などが併用されることもあります。 |
出典:日本泌尿器科学会, 日本病理学会, 日本医学放射線学会( 編集). 前立腺癌取扱い規約 第5 版. 金原出版. 2022.
UICC 日本委員会TNM 委員会( 翻訳) . TNM 悪性腫瘍の分類 第8 版 日本語. 金原出版. 2017.を参考に作成