その他の治療

目次

監修
群馬大学大学院医学系研究科 泌尿器科学分野
教授 鈴木 和浩 先生

監視療法

PSA検査が普及し、早期に発見される限局性前立腺がんが増えています。これら早期がんのうち、生物学的悪性度(臨床病期、PSA値、生検病理所見等から判断されます)が非常に低く、期待余命が20年未満の前立腺がんでは、監視療法が治療選択肢の一つになります。すなわち、このような患者を定期的なPSA検査や生検で厳重に経過観察し、病勢の進行が疑われた時点で根治的治療を行うことになります。

本治療を行うにあたっては、監視療法に対する患者さんの同意と理解、さらに、経過観察中における患者さんの協力は欠かすことが出来ません。

化学療法(細胞傷害性抗がん薬による治療)

転移がある場合、ホルモン療法の効果が薄れてくることがあります。
男性ホルモンの分泌が抑えられているにもかかわらず、進行が食い止められない前立腺がんのことを「去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)」といい、次の手段の一つとして化学療法が検討されます。

また、ホルモン療法が実施されていない転移のあるがんでは、ホルモン療法化学療法を併用することで、がんの増殖をより強く抑えられることが明らかになっており、CRPCになっていなくても併用されることがあります。

がんと上手につきあっていくために、副作用のコントロールも重視されます。

去勢抵抗性前立腺がんに対する新しい治療薬の開発は、現在も急ピッチで進められています。患者さん一人一人に合った薬の選択、使う順番、組み合わせ方なども研究されております。

緩和的療法

去勢抵抗性前立腺がんに対して、化学療法などの追加治療を行ってみても最終的にはほとんどの症例が緩和的療法の対象となることが多くあります。

前立腺がんの緩和的療法の対象としては、①骨転移巣の疼痛、②脊椎転移による脊椎麻痺、③排尿困難および血尿、④尿管閉塞に伴う腎後性腎不全、があります。これらに対しては、迅速に、適切な対応が求められます。