前立腺がん大辞典

監修
群馬大学大学院医学系研究科 泌尿器科学分野
教授 鈴木 和浩 先生

医療用語は専門家が使うため、一般の方々には耳慣れない言葉が多いと思います。ここでは、がん医療で比較的多くつかわれる用語について説明いたします。

索引

視床下部 [ししょうかぶ]

間脳に属し、第三脳室の両外側壁の下部を占める領域をいいます。視床下部から分泌されるホルモンは、下垂体に働くことで下垂体ホルモンの分泌を促進又は抑制させます。

視床下部から分泌されるホルモンにはGnRH(性腺刺激ホルモン放出ホルモン)、CRH(副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン)、GIH(成長ホルモン抑制ホルモン)、GHRH(成長ホルモン放出ホルモン)、PRH(プロラクチン放出ホルモン)などがあります。

精嚢 [せいのう]

男性の生殖器の一部。膀胱(ぼうこう)の底部後方に左右一対あり、射精管に開口しています。精嚢液を分泌します。

セカンドオピニオン [せかんどおぴにおん]

主治医の診断や治療指針に対し別の医師の意見を聞くこと。(最初に診断し治療法を提示した医師ではない、別の医師による意見を聞くこと。)

がんの場合、手術療法、化学療法、放射線療法など複数の治療法があります。それぞれ専門的な知識が必要で、一人の医師がすべてに精通することは難しい状況になりつつあります。主治医からすすめられた治療について、さらに確信のあるものにしたい場合などに、専門領域や立場の異なる専門医に診断と治療法について改めて意見を聞いて、患者さんが自ら治療法を選択する際の参考にします。

セカンドオピニオンを受けた場合は、その情報を参考に治療の決定について主治医と相談することが大切です。

赤血球 [せっけっきゅう]

血液中の血液細胞の一種であり、主な役割は、酸素を全身に運ぶことです。赤血球中にはヘモグロビン(血色素)と呼ばれる蛋白質があり、ここに酸素を結合させて運んでいます。赤血球は骨髄で作られ、血管のなかで約120日間働いた後、肝臓や脾臓で壊されます。

(C)2023独立行政法人国立がん研究センターがん対策情報センター

前立腺肥大症 [ぜんりつせんひだいしょう]

前立腺肥大症は、前立腺の病気のなかでもっとも多くみられる病気です。前立腺肥大症とはいわゆる臨床的な概念で、良性前立腺腫大(Benign Prostate Enlargemen,BPE)に膀胱下(尿道)閉塞(Bladder Outlet Obstruction,BOO)、下部尿路症状(Lower Urinary Tract Symptoms,LUTS)が絡み合った複合的な臨床像と定義されています。

すなわち、良性前立腺腫大は内腺(尿道を取り囲む部分:移行領域)で発生するため、尿道が圧迫され狭くなる(尿道閉塞)ことで、尿がでにくい、トイレの回数が多くなる、尿をしたあとすっきりしない、などの自覚症状(下部尿路症状)があらわれます。排尿に関連する症状があらわれるようになると日常生活に支障をきたすこともあるため、適切な治療が必要になります。しかし、なかには前立腺腫大があっても症状がみられない人もいます。

ソーシャルワーカー [そーしゃるわーかー]

患者さんの治療や療養と毎日の暮らしが安定して継続できるよう、治療費の相談、家族や仕事の悩み、療養生活での不安、転院による治療の継続や在宅への移行、在宅サービスの利用の申請など、療養生活にかかわる幅広い相談に応じる専門家のことです。

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