- 監修
- 群馬大学大学院医学系研究科 泌尿器科学分野
教授 鈴木 和浩 先生
医療用語は専門家が使うため、一般の方々には耳慣れない言葉が多いと思います。ここでは、がん医療で比較的多くつかわれる用語について説明いたします。
索引
合併症 [がっぺいしょう]
ある病気と同時に起こっている他の病気。
がんの患者さんが糖尿病もあることなどは、よくみられる例です。ある病気が原因となって起こる他の病気や、検査や治療の結果新たに起こってきた病気も合併症と呼びます。たとえば、がんが骨にまで広がり、骨の痛みを感じたり、消化器の手術後に腸が癒着して腸閉塞を起こしたりする場合も合併症です。
治療法を選択する場合、単独の病気だけでなく、がんの進行に伴い、あるいは治療に伴い、どのような症状が起こりうるかについても知ることは大切です。
化学療法/抗がん剤治療 [かがくりょうほう/こうがんざいちりょう]
細胞の分裂機構に作用して細胞の増殖を抑える薬(抗がん剤)を使った治療法のことをいいます。
抗がん剤は、作用の仕方によってさまざまな種類があり、単独、または複数の薬を組み合わせて用います。
血小板 [けっしょうばん]
血液中の血液細胞の1種類であり、出血を止める役割があります。何らかの原因により血管が破れ、血液が流れ、出血することがあります。その場合、血小板が破れた部位に付着します(粘着反応)。 するとその血小板から仲間を呼ぶ物質が放出され(放出反応)、まわりの血小板がどんどん集まってきます(凝集反応)。その結果、血栓(かさぶたのようなもの)がつくられ、血液の流出が食い止められます。
(C)2023独立行政法人国立がん研究センターがん対策情報センター
緩和ケア [かんわけあ]
がんに伴う身体や心のつらさをやわらげ、患者さんやその家族がその人らしくすごせるよう支えるアプロ-チのことをいいます。
がんと診断された時点から療養の過程を通じて受けることができます。
抗がん剤 [こうがんざい]
がんの治療に用いられる薬剤のことです。がん細胞の増殖を妨げたり、がん細胞そのものを破壊する作用を持った薬です。作用の仕方によって、さまざまな種類の薬があり、単独、あるいは、数種類を組み合わせて用いられます。錠剤やカプセル剤といった経口薬(のみ薬)と、点滴のように血管に直接投与する注射薬などがあります。
(C)2023独立行政法人国立がん研究センターがん対策情報センター
骨シンチグラフィー [こつしんちぐらふぃー]
骨にがんが転移しているかどうかを、放射線を発する物質(アイソトープ)によって全身にわたって調べる検査。
がん以外の骨の病気や骨折、骨周辺組織の炎症などもわかります。時にがんの転移と炎症を区別しにくい場合もあります。アイソトープを注射し、薬が体の中に行きわたった頃合いを見計らって特殊なカメラで全身の撮影をします。注射する薬剤は、骨の異常部分に集まる性質を持っているため、がんの場合に、骨に転移していないかを調べるのに役立ちます。なお、検査に使用する薬剤の放射線はごく微量で数日中には尿や便から排泄されて、放射能はなくなります。