前立腺がん大辞典

監修
群馬大学大学院医学系研究科 泌尿器科学分野
教授 鈴木 和浩 先生

医療用語は専門家が使うため、一般の方々には耳慣れない言葉が多いと思います。ここでは、がん医療で比較的多くつかわれる用語について説明いたします。

索引

アンドロゲン [あんどろげん]

男性ホルモンおよびこれと同じ生理作用をもつ物質の総称。胎生期の性分化、生殖器官の機能維持、雄の第二次性徴の発現、タンパク質同化作用の促進などの作用をもちます。化学的にはいずれもステロイド誘導体です。
天然にあるおもなホルモンとして、もっとも強い生理活性を示すテストステロンをはじめ、アンドロステロン、デヒドロエピアンドロステロン、アンドロステンジオンなどがあります。
そのほか副腎(ふくじん)皮質中に検出されるアドレノステロンもアンドロゲンの一つです。

悪性腫瘍 [あくせいしゅよう]

細胞が無秩序に増えながら周囲にしみ込むように広がったり(浸潤)、血管などを介して身体のあちこちに飛び火して新しいかたまりを作ったり(転移)する腫瘍のことをいいます(浸潤や転移をすることがなく、周りの組織を押しのけるようにしてゆっくりと大きくなる腫瘍を良性腫瘍といいます)。
悪性腫瘍は放っておくと全身に広がり、身体にさまざまな悪い影響をもたらすため、ほとんどの場合、治療が必要になります。悪性腫瘍は、身体や臓器の表面などを構成する細胞からできる「がん」と、骨や筋肉などを構成する細胞からできる「肉腫」に分類されます。

イレウス/腸閉塞 [いれうす/ちょうへいそく]

腸の炎症により本来はくっついていないところが部分的にくっついてしまったり、がんによって腸がつまるなどして、腸の動きが低下し腸管のとおりが悪くなる状態のことをいいます。便やガスが出なくなり、お腹の痛みや吐き気、嘔吐などの症状が出ます。中でも腸の動きが悪くなることによって起こる腸閉塞をイレウスといいます。